ウィスキー、カシミア、ショートブレッド。スコットランド三大土産が集まるスペイサイドへ(前編)

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スペイサイドはスコットランド三大土産物が生まれる場所。 スペイサイドのウィスキーは香り高く、 華麗な味わいで人気が高く、シルキーな触り心地で心まで温めてくれるカシミアブランド 「ジョンストンズ」があり、 ショートブレッドの代表的メーカー「ウォーカーズ」 もスペイサイド産。スコットランドらしさを感じる旅ならば、 スペイサイドかも。

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ということで…

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一度泊まりたいと思っていた日本人オーナーのいるハイランダーインという宿へ。ちなみにイン(Inn)とはパブ兼宿泊所のような場所で、18世紀から19世紀にかけて発達したそう。今もイギリスには、その機能を残す宿が残っていて、比較的、家庭的な温かい雰囲気を残す所が多く、 ハイランダーインはまさしくそんな一軒。

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ハイランダーインを知ったのは、 スコットランドのバーについて調べていた時。ウィスキー好きの人達に大人気の店がスペイサイドにあり、しかもオーナーが日本人。世界のバー50に連年受賞をしているときたら、訪れない訳にはいかない。

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訪れる前日、ハイランダーインのHPでメニューを予め確認していたところ気になったのが、ウィスキーのテイスティングメニュー。一度にいくつものウィスキーを試してみたい人のためのもので、ハイランダーインには、なんと23種類ものセットメニューがある(スコットランドのパブやバーでは準備していない所が多く、普通はあっても2〜3種類)。


参考までに数例ご紹介すると、

・The Speyside Malt Whisky Trail ~ Official Bottlings(スペイサイド地区のウィスキー6種類) £23.90

・Islay Malts ~ Official Bottlings (アイラ島のウィスキー6種類)£30.70 

・Aperitif Malts (夕食前にアペリティフ的に楽しむウィスキー6種類) £44.90

・Some great 18 year olds ~ Official Bottlings (18年物を集めたウィスキー6種類)£65.50

・Japanese Whiskies for Connoisseurs(山崎10年・18年、白州、余市、 イチローズモルト、羽生)£123.00

*価格は時期により変動。山崎などのジャパニーズウイスキーはここ数年価格が高騰している。


こちらのオーナーは、バーテンダーの経歴の後、 サントリーでヨーロッパにおける日本のウィスキー認知を高めるアンバサダー職に従事。しかし、サントリーがヨーロッパからアメリカへ注力することへ方向転換した機に退職。その後、いくつかのメーカーからオファーがあったのだが「ウィスキーの国で働いてみるのもいいな」と最初は1年間のつもりでハイランダーインからのオファーを受け、最終的にはインを買い取り、オーナーにまでなったという。

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実は、私が宿泊した夜、天候の悪化が原因で村全体が停電になるというアクシデントに見舞われた。時間にして1 時間強程度だったのだが、お酒を飲んでしまっては身動きが取れないし、食いっぱぐれも悲しいので、隣村まで車を走らせ夕食を摂ることに。 帰り道せめてウィスキーだけはハイランダーインで飲みたいなあと思いながら戻ると、村には明かりが戻っていた。

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お会いした皆川さんはおヒゲの似合うダンディー&スレンダーな方だった。東京・ 麻布のおしゃれバーにいてもきっと違和感がない(笑)。しかし語り始めるとフレンドリーな関西弁。私は早くも親しみを覚えて、 厚かましくもわがままオーダーしてしまった。「18年物を集めたテイスティングセットに日本のウィスキーを組み込んでみたいんです。スコッチウイスキーの中で日本のウィスキーを味わってみたいのですが?」という問いかけに「できますよ!でも、実は山崎18年物は一杯で£50超えるので、元々£50のテイスティングセットが倍額になります。山崎18年物を組み込む価値があるか、どうかってとこですね。 でも山崎の12年物ならばおおよそプラス£5で済みますよ。」「では、 山崎の12年物入りでお願いします!」「かしこまりました!」早速、 皆川さんはテイスティングセットを用意してくれた。「数字1から順に数字が高くなるほど、スモーキー感とリッチ感が強くなるので、 数字の順に飲まれるといいと思います。あ、でも、4番に山崎を入れたので、4番から始めた方がいいかな?」 ということで、勧められるままに、4番の山崎12年物から、 その他は数字の順にテイスティングした。

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テイスティング個人的感想

1番のグレンモーレンジー:18年物セットの中で最も軽やかで爽やかなタイプ。甘すぎたり、 スモーキーな重厚感が苦手な人にオススメ。

2番のグレンリヴェット:グレンモーレンジーより華やかさが増した感じで、私的にはこのあたりから18年物らしさを感じた。

3番のグレンドロナック:私の一番好きな味で、 甘さの中にもほんの少しマーマレードのようなクセ(いい意味)を感じ、かつ全体的なバランスの良さを感じた。

5番のハイランドパーク:スモーキーでありながらも、甘みがあり、 素晴らしいバランス。飲み続けるごとにクセになり、 家に置くならこれだなと思った1本。

6番のボウモア:しっかりしたスモーキー感。飲み始めは、スモーキーさに引っかかりを覚えたが、テイスティングが終わる頃には、これもいいなあと思えるのが不思議。

飛ばしたが、

4番の山崎12年物:爽やかさは1番のグレンモーレンジーに通じる。 6本の中で一番若い感じがした。

 

テイスティングの印象を皆川さんに伝えたところ「山崎12年物は樽にミズナラをほんの少し使っていて、 それが好きな人はすごく好きになるし、 たまに苦手に感じる人もいます。もしも若さを感じるようであれば、 ミズナラ樽が理由かも。私的には山崎12年物は12年物とは思えないほどの熟成感があると思っています。」そう言えば、 以前ミズナラ樽を使用したシーバスリーガルを飲んだ時に、同じような感想を持ったことがあることを思い出した。やはりお酒のことはエキスパート、出来ればエキスパート中のエキスパートに聞くのが一番と思った次第。また皆川さんの接客ぶりは脳味噌の反射神経の良さを感じるものだった。世界から集まるウィスキーラバーの要望や、お店で働く若手バーテンダーの相談にも瞬時に答える。世界50傑に入るジャパニーズバーテンダーのスゴ技を拝見しながら、幸せなウィスキーテイスティング体験。もはや停電したことなど忘れて、その夜はとっぷり眠りにつくことができた。

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翌朝はフルスコティッシュブレックファーストを堪能し、次なる目的地に向かって移動するためにチェックアウト。 名残惜しさを残しながら、 貴重で快適な一泊が出来たことへの御礼を述べ、 立ち話していると、皆川さんがオフシーズンにはお得なオファーがあることを教えてくれた。 スコットランドの法律は、ハッピーアワーを禁止したり、 低価格のアルコール販売価格を規制するなど、アルコールに対して意外と厳格なのだが、オフシーズンに限りスペイサイドでは「スコッチウィスキーを体験する機会を提供しようと、11月から2月まで一人あたり£ 50オフのオファーをしています」と。興味があれば、ウチのHPで確認して、電話で直接予約してください。また是非来てくださいね。」 近いうちにまた訪れる! という思いになったことは言うまでもない。