COP26いよいよスコットランド・グラスゴーで開催

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日本のニュースといえば、週末に行われる選挙戦が話題の中心かもしれません。イギリスBBCニュースは、2~3ヶ月前よりCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締結国会議)と環境が話題の中心となっています。

 

会議場所はスコットランド・グラスゴー。産業革命時には綿工業、造船業等の産業が街の中心に流れるクライド川周辺に発展。世界有数の都市であったが、第二次世界大戦後に安い労働力の国々に産業を奪われる形となり、勢いを失うことに。しかし1990年代になると、金融業等の活況により持ち直し、今やスコットランド最大の都市となっている。そしてグラスゴーは10月31日COP26開催を迎えて、会場近くの道路封鎖や警官によるパトロールなど街のあちこちで物々しさが出ています。

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COP26とは?

COPとは締約国会議(Conference of the Parties)の略で、今回が26回目となるため、通称COP26と言われます。正式名称は、国連気候変動枠組条約締約国会議(United Nations Climate Change Conference)。1995年以来、世界各国の代表が集まり、気候変動と戦うための世界的戦略を協定します。今回は190人を超える世界のリーダーが、数万人の交渉担当者と共に12日間に渡って議論を行う予定です。

 

なぜグラスゴーがCOP開催地に?

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理由は、主に二つ挙げられる。

一つ目は、過去の国際的なイベント経験実績。近年で言うと、2014年コモンウェルスゲームズの開催。コモンウェルスゲームズ(Commonwealth Games)は、Wikipediaによるとイギリス連邦に属する50以上の国や地域が参加して4年ごとに開催される総合競技大会とあります。

 

二つ目は、観光・イベントの視点から都市のサステナビリティ度を示す世界唯一の指標GDS-Index。この指標によるとグラスゴーは世界第4位。さらにグラスゴーが2030年までのカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること)を達成するという目標が野心的であると評価されたこともあります。

 

COP26による地元の期待と懸念

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パンデミック以来、初の対面式による世界最大級の国際会議とあって、地元の、特にホスピタリティ業界が寄せる経済への期待感は非常に高いものがあります。ホテルやB&B、Airbnbの直前予約はほぼ100%無理な状態。これはコモンウェルスゲームズ以来の盛況ぶりのようです。

 


期待の一方で、混乱の懸念も

まずはコロナ感染状況への影響。日本人にとっては、先に行われた東京オリンピックで想像に難くないかもしれません。今やイギリスでのワクチン接種の普及がかなり進んだものの、経済をほぼオープンにしており、現在の状況は良くも悪くもコロナとの共存状態。スコットランドのみで言うと、ここ最近の新規感染者数は下降傾向にあるものの、国際会議による関係者(2.5万人〜3万人)が訪れることが関係し、感染者数の大幅増加が予測されるとスコットランドHealth Secretaryは認めています。

 

テロリストによる犯行も懸念の一つ。注目されるCOP26参加者の中には、アメリカ・バイデン大統領、オバマ前大統領、日本の岸田首相、またスウェーデンの環境活動家グレタさんもCOP26開催中に行われる環境デモに参加することを表明。政治家・有名人を狙った犯行を、政府、警察共かなり警戒しており、スコットランドFirst Ministerスタジョーンは、グラスゴーへの移動をできる限り控えるようにと国民に協力を求めています。

 

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最終的には直前の中止が決定となりましたが、地元鉄道会社スコットレイルの労働組合がCOP26期間中のストライキを予定していました。当地における労働組合の強さの証とも言えるのか…鉄道ストライキは、COP26に関わる人たち(国内外を含めて)のみならず、地元への影響も大きい為、ストライキが中止になり多くの人が胸を撫で下ろしていることは想像に難くありません。

 

イギリス版・不都合な真実

今回のCOP26のホスト国は、あくまでイギリスUnited Kingdom(UK)。UKはイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4国によって成り立つ国であり、今回はイギリスがホストする会議を、スコットランド1都市であるグラスゴーで開催するという形です。このイギリスとスコットランドの間には、考え方の相違がよくあります。環境問題においても…実はスコットランドの最北端にシェットランド諸島という場所があり、新しい油田が見つかっています。イギリス政府は油田開発への方向性ですが、一方でスコットランド政府は環境的視点により開発見直しを提案しています。石油などの化石燃料の開発は、国の収入源になる可能性を秘めた場所である一方で、環境問題でも問題視されるポイント。ここに結論を出さないままイギリスが環境会議のホスト国を務める点を、スウェーデン環境活動家であるグレタさんも疑問視しており、COP26に参加しない理由の一つであるとBBCのインタビューで語っています。

 

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グラスゴーGlasgowの名前の由来は、ゲーリック語が意味する"dear green place(親愛なる緑の地)"。由来にふさわしい話し合いが、各国の不都合を超えて行われることを、いちグラスゴー住民として祈っております。