ウィスキー、カシミア、ショートブレッド。スコットランド三大土産が集まるスペイサイドへ(後編)
10月を過ぎると、スコットランドは早くもオフシーズンを迎える。日本人の私から見ると、木々は紅葉し、熟成の時期を迎えて、 これはこれで大変美しいなあと思うのだが。 寒さが影響して観光客が減るのだろう。 これは客の立場から言うと金銭的にありがたいことで、 これまで予約が難しかった宿泊がグッとイージーになる。
先にご紹介したハイランダーインも、11月から2月にかけて、 お得なオファーがあることをお伝えしたが、 今回お伝えする宿泊においてもオフピーク価格で、 日曜から月曜日にかけての宿泊もあり、 大変くつろいだ夜を過ごすことができた。オフピーク万歳!
ハイランダーインをチェックアウトした後、 スペサイドでウィスキー樽作りをする施設を遠くから眺めた。 訪れたのは日曜日で、こちらの施設、 ウィークデイのみの営業の為、見学することができなかった。 スペイサイドの蒸溜所やハイランダーインのオーナー皆川氏のお話 を聞き、樽の重要性を一層感じた為、 これは次回へのお楽しみといういことで、残しておこう。
そして海岸へ向けて、車で北上した。 お目当てはボウフィドルロック。自然の成せる技で、 海岸にある岩が侵食されて、面白い形をしている。 というだけのことなのだが、これがなかなか!1時間ドライブをし た価値があった。
その後、向かったのは、 カシミアストールで日本でも大人気のジョンストンズ。 こちらのカシミア製品は、いくつか所有しているのだが、 肌触りがシルキーで心地よく、しかも軽いので、 日本にいた時から愛用している。もちろん、 寒さがしみるスコットランドにおいても。 ジョンストンズ製品を数多く揃えるショップとカフェがあるので、 立ち寄ってみた。 今回はショッピング欲をくすぐられることはなかった為、 ウィンドーショッピングの後にカフェで軽くランチ。
お腹を満たした後、散歩がてら、近くにあるエルギン大聖堂へ。 この頃から太陽が顔を見え始めた。青い空に映える大聖堂。 秋の紅葉がまるで借景のように大聖堂を美しく映し出し、 大聖堂を立ち去る時に係りの人に「ビューティフル・カテドラル! 」とお礼を述べたほど。これは、一見の価値のあるものだった。
目が満足したので、このまま車で今夜の宿へ。 ハイランドらしい景色を楽しみ、秋の郊外ドライブを楽しんで1時 間。 まるで貴族のお屋敷のような今夜のお宿ニーザーデイルハウスに到 着。迎えてくれたのはオーナーのお母様。「娘は今、 街に出ていて、1時間で帰ってくるわ。お部屋へご案内するわね。 」陽気なご婦人に迎えられ、私たちも自然と笑顔になる。
階段はスコットランドらしい赤いチェック柄。 階段を上ったところには、はく製の鹿。建物自体は年代物だが、 きちんと改装と掃除がされていることが一見して分かる心地よさを 感じた。部屋に通され、お茶で落ち着いたのち、日が暮れる前に、 軽く散歩。歩いていると、孔雀が!そして、また歩いていると、 背後から犬の鳴き声が!また、歩いていると、10羽以上の鶏。 そして、牛の数々。見下ろすと川の流れが見え、 豊かな自然に囲まれる贅沢感。いいところへ来たことを再確認。
夕方6時になり、オーナーと初見。軽く挨拶だけして、7時から軽 く食事をする旨を確認。部屋で休んだのちに、7時にパブリックス ペースへ。通された場所には、 すでにオーダーしていたシェアリング・ プラッターが用意されていた。「少し、寒いかしら? 暖炉をつけるわ。」暖炉の火をつけながら、 オーナーが石油会社シェルに20年勤務していたこと、 世界中に行ったことなど、プロファイルを聞く。 世界に行った中でも、ノルウェーがオススメで、 日本は行きたいがまだ子供が小さいので遠い日本は難しいとのこと 。といった話しを聞きながら、プラッターに舌鼓。何気ないハム、 野菜、チーズのプラッターだが、世界を知る人の味は何かが違う。 なんだか、すごく美味しい。暖炉の火が完了して、 明日の朝ごはんの時間の約束を終え、 あとはゆっくり過ごしてくださいねと無言のメッセージを受け取り 、暖炉の火が消えるまでゆっくりさせていただいた。あ~ 豊かな時間だなあ。翌朝の朝食が、 これまた豊かで美味しいものだったことは言うまでもない。
ニーザーデイルハウスで再確認したこと。 インターナショナルな経験は、生きていく上で重要だということ。 今回1泊のみの宿泊だったが、最低2泊、 そしてオフシーズンこそおすすめしたい場所であることをお伝えし て筆を置きたい。