ウィスキー王国 スコットランドで、 今「クラフト ジン」が熱い
スコットランドは、言わずと知れたスコッチ ウィスキーのふるさと。ところがこの地で近年、手作りで少量生産の「クラフト ジン」が人気を呼んでいます。
ジンは、ウィスキーに用いられる伝統的な<単式蒸留>ではなく、純度の高いアルコールを作る機械的な<連続式蒸留>がベースで使われるため、味わいが画一的と思われがち。しかし、クラフト ジンは再蒸留する際に様々なボタニカル(薬草やフルーツ)で風味づけしていることから、実に個性が豊かです。さらにウィスキーのように樽で数年にも及び熟成させる必要がなくすぐに販売できるため、資金力が乏しくても参入しやすいといいます。
そこでウィスキー作りで培ってきたスコットランド伝統のクラフトマンシップ(職人技)を活かした「クラフト ジン」が生まれ、今の流行につながったといいます。
ひとくちにスコットランドのクラフト ジンと言っても実に様々で、日本の地酒のように地域ごとにたくさんあります。クラフト ジンの先駆けとして欠かせない「ヘンドリックス」、世界的な酒類コンペティションのジン部門で2017年最優秀金賞に輝いた「マッククイーン ジン」、スコットランドの首都エディンバラの「エディンバラ ジン」、ゴルフの聖地セントアンドリュースの「エデン ミル」等々、現在70以上の蒸溜所がスコットランドにはあります。
クラフト ジンの楽しみ方➀家でジン トニック
クラフト ジンの楽しみ方として代表的なものといえば「ジン トニック」。ジンをトニック ウォーターで割るだけのシンプルなものですが、食事の邪魔をすることがないため、あらゆるシーンで飲むことができます。しかしシンプルであるがゆえに、作り方によって美味しさは格段に変化。家でも簡単に作ることができるのでチャレンジして欲しいのですが、その際こだわりたいのが「トニック ウォーター」と「ガーニッシュ」です。
クラフト ジンでジン トニックを飲むなら「プレミアム トニック ウォーター」を。<フィーバー ツリー>というトニック ウォーターが代表的で、人工甘味料や香料がゼロなので、甘さが舌に残ることがなく、クラフト ジンの個性を生かすことができるのが特徴で、スコットランドにおいて、ほとんどのバーやカフェで使われています。
クラフト ジンはプレミアム トニック ウォーターで割るだけでも充分に美味しいのですが、味と香りをさらにランクアップさせたい人は「ガーニッシュ」にもこだわってみましょう。ガーニッシュとは、<飾り>とか<付け合わせ>といった意味で、ジンの世界ではライム、オレンジ、ラズベリー等のフルーツ、バジル等のハーブ、コリアンダーや唐辛子等のスパイスを指します。クラフト ジンの香りの個性を引き出すための効果的なアクセントとして、最高の相棒を選んで、ジン トニックに加えてみましょう。
クラフト ジンの楽しみ方②お店でカクテル
できる限り多くの種類のジンを楽しみたい人は、お店で飲むことをオススメします。スコットランドでは、バーに限らず、レストランやカフェでも、クラフト ジンを提供しています。もしも何をオーダーしていいか分からない場合は、「オススメのクラフト ジンは?」とお店の人に聞いてみましょう。クラフト ジンに、ぴったりのトニック ウォーターとガーニッシュを選んで、パーフェクトな形で提供してくれるはずです。
クラフト ジンの楽しみ方は、ジン トニック以外にもたくさんあります。日本人におなじみのマティーニやシンガポール スリングも、その代表格。ほかにもジンを使用した多種多様のカクテルがあるので、お店オリジナルや得意とするものを見つけて、舌鼓を打つのもおすすめです。
最近は日本でもクラフト ジンを入手できるお店が増えているといいます。しかし、次々と新しく生まれている、個性的なクラフト ジンを思う存分楽しみたい人は、是非スコットランドへ。ある統計では、2020年に英国のジン売上げがブレンデッド ウィスキー売上げを超えるという結果が出ているほど今、クラフト ジンが熱い!スコッチ ウィスキーに次ぐ、スコットランド名物になり、世界中の人々を惹きつける日はそう遠くないはずです。
短時間でスコットランドの名物を飲んで食べ尽くす!フードツアーのススメ
食事は、旅行中の何よりの楽しみ。しかも異国の土地で、なんのガイドもなしに、その土地の美味しいものを見つけることは、難しいかもしれない。海外旅行は時間や情報源に限りがある。そんな中、地元の人しか知らないような美味しい食事やお酒に、短時間で、出逢いたい方には、地元の食事情に通じる「フードツアー」をお勧めしたい。
1軒目:王道のスコティッシュ・スモーク・サーモン
ツアーの待ち合わせは、エディンバラで最も華やぐ旧市街ロイヤル・マイルにあるホテル Hotel Du Vin & Bistro。アメリカ、ドイツ、メキシコから来た参加者が集まったところで、簡単な自己紹介を行い、ツアー全体の説明を受け、早速フードツアーが始まった。
2軒目:ラズベリー・ジン・カクテルと血入りソーセージ
ここ数年スコットランドでは手作りのクラフトジンが流行している。エディンバラにもいくつかクラフト・ジン蒸溜所があるが、中でも一番人気のエディンバラ・ジンを使ったカクテルを、人気ダイニングバー Makars Restで味わった。
カクテルは、ラズベリーが香るエディンバラ・ジンを、イタリア発泡酒プロセッコで割ったもの。甘酸っぱく、炭酸は喉に心地よく、口当たりが良いので、あっという間に飲み干してしまう。合わせるおつまみも絶妙。スコットランドのソーセージにマッシュポテトを添えたものと、ブラックプディングだ。ブラックプディングとは、一言で説明するとブラッド(血)ソーセージ。血入りのソーセージは、普通のソーセージに比べるとコクが深いため、最高のおつまみになる。さあ、気分が良くなったところで、3軒目へ移動だ。
3軒目:スコッチ・ウィスキーと名物ハギス
気持ちいい風に吹かれながら歩くこと約10分。エディンバラ旧市街から新市街に移り、訪れたのは、Scotch Malt Whisky Society。いわばウィスキーの会員制倶楽部だ。フードツアー会社のツテということで、一見(いちげん)さんの身分で、いきなり奥深いウィスキーの世界へ踏み込むことができる。これは有り難い。
4軒目:クラフト・ビールとスコティッシュ・チーズ
さらに歩いて4軒目。到着したのは、お酒のボトルが店先をお洒落に飾るバー Usquabae。待ち受けていたのは、もう1つの酒天国だった。スコットランドは、クラフト・ジン、スコッチ・ウィスキーだけではなく、世界最高レベルのクラフト・ビールも生産している。
5軒目:スコットランドの大人デザート・クラナカン
最後の目的地であるバー&レストランGhille Dhuに到着。さあ、スコットランド伝統のデザート・クラナカンの登場だ。タイトルに大人デザートと謳ったのは、このデザート、見た目は可愛いのに、ウィスキーが容赦なくたっぷり入っている。蜂蜜入りクリーム、ベリー、ウィスキーが染み込んだオートミールの3層でできている。クリームに蜂蜜が入っているため、少し甘いが、ベリーの甘酸っぱさがあるため、意外とペロッといけてしまう。ふー、最後まで大満足。
【海外フードツアーの見つけ方】
紅茶の国で盛り上がるコーヒーカルチャー
スコットランドといえば、ウィスキーで知られる国。しかし意外なことかもしれませんが、スコットランドではここ数年コーヒーシーンが活況で、スコットランド最大都市グラスゴーはその最先端にあると言えます。またスコットランドはイギリス連邦国の一国であることから、どちらかと言えば紅茶の印象が日本人にとって強いかもしれませんが、今、グラスゴーのあちらこちらで美味しいコーヒーが飲めるカフェが増えています。
活況ぶりをよく表すのが、今年で5回目の実施となった「グラスゴーコーヒーフェスティバル 2019」。2019年の5月4~5日にグラスゴーのシティセンターにあるthe Biggaitという会場で行われました。
出展するのは、グラスゴーを中心としたスコットランドのカフェ、焙煎屋、チョコレート会社、マグカップ会社、アパレル会社、牛乳会社等々。
参加者は、大きく分けて2つ。1つは、コーヒーの産業に関わるプロフェッショナル達。自分がビジネスのために求める味のコーヒーやスイーツの提供者を探しにきています。もう1つは、一般参加者。お気に入りのコーヒーを見つけたり、バリスタの技を楽しみに来ています。
一般参加者は、入場チケット(£18.18)を事前購入する必要があります。会場への入場時に、フェスティバルのロゴ入りエコバッグとコーヒー 一杯が無料になるコインを渡されましたが、実際にこのコインは一回もバリスタに徴収されることはなく、ほぼコーヒー飲み放題状態。まあ、コーヒーを飲むにも限度はありますが。
私は、3人のバリスタによるコーヒーを飲み比べしてみました。どのコーヒーも、ブレンド豆ではなくシングルオリジンのコーヒー豆2-3種類の中から選ぶことができたのですが、私が一番美味しいと思ったのは、ファイフという街にあるカフェの女性バリスタが淹れてくれたエチオピアコーヒー。味わいはスッキリしながら、香りが華やか。コーヒー粉を蒸らしや、抽出する際、きっちり時間を図りながら淹れていたその真剣さがそのまま味になったようでした。
別途料金が必要だったのですが、スイーツやカフェ飯の提供もありました。コーヒーに合う訳ではないのですが、日本人的に面白かったのがラーメン。豚骨スープのラーメンと、マッシュルームから出汁を取ったベジタリアンラーメンの2種類の提供があり、私は豚骨ラーメンをチョイス。豚骨味のはずが、なぜかヘルシーな味がして面白かったです(真面目に作っている証拠?)。
スコットランドにもスターバックスは勿論、チェーン店展開のコーヒー店は沢山あります。しかし今、グラスゴーで盛んなのが、個人経営コーヒー店(Independent cafe)。味わいは中煎りの傾向で、ブルーボトルコーヒーに代表されるサードウェーブの流れを感じます。中煎りは豆そのものが美味しくないとごまかしが効かず難しいのですが、そのあたりのこだわりが、伺えます。またコーヒー器具は中煎りを楽しめるフィルタータイプが人気で、V60というHARIOという日本の製品をグラスゴーのあちこちのカフェで見かけます。
ミルクと一緒に味わうコーヒーも人気。中でも、ラテに比べてエスプレッソの量が多いフラットホワイトが人気で、バリスタによるラテアートも美しい。紅茶も美味しい国ですが、自分のお好みスタイルでぜひスコットランドのコーヒーも味わっていただきたいです。
コーヒーはディスポーザプル(後でお金が戻る)カップ、または持参したカップで飲むUKらしいエコなシステム
はじめまして。スコットランドのパブ紹介
2017年の秋。スコットランド最大都市グラスゴーへ、日本最大都市である東京より、数年間の予定で暮らすことに。住みはじめてから現時点で約1年半が経ちます。
東京では20年ほどコピーライター業をやっておりました。ということもあり、私にとって書くことは、自分の思考を整理する手段であり、今の暮らしをより豊かにするツールです。プロのライターとしてしっかりした媒体から発信するのもいいのですが、縛りのない自分らしい発信方法がないか?と思い、自身のブログをはじめることにしました。できる限り「日本では知られていない、リアルなスコットランドの話」を伝えたいと思うのですが、私自身の趣味趣向が、旅行、お酒、カフェ、ランニングですので偏りが出てくると思います。それも個性と受け取っていただければ幸いです。
さて、ご挨拶がわりに1回目のブログは、私のお気に入りパブの話を....パブ(Pub)とはイギリスで発達した酒場のこと。元名のPublic House(公共の家)の通り、街にある公共の社交場的な役割だったといわれています。旅行者が数多く訪れる有名パブは別として、街のそこかしらにあるパブは、今も社交的な場の雰囲気を呈しています。ただ.....パブの扉から中が見えない店も多く、アウェイ感が満載、外ものにとって入りづらいのも事実。でも扉を開くと、お客さんが笑顔で受け入れてくれるフレンドリーなお店が数多くあります。
私のお気に入りパブ「Lios Mor」は、その代表格。特におすすめは火曜日の15時〜の時間帯です。お客さんはアマチュアミュージシャンの生演奏をバックに歌い、踊り、そして飲んで楽しむ街の社交場と化します。歌声はなかなかのもので、フランクシナトラなどの懐かしい曲を揚々と歌い上げる様子はとても素人とは思えない堂々としたもの。その時間帯の主な客層は年金受給者の方々なのですが(笑)リタイア後の人生を謳歌しているかのようで、見ているだけで本当に楽しい!
Lios Morは、スコットランドのパブらしく、ウィスキーの種類が特に充実しています。「ウィスキーを飲みたいのだけど、おすすめはある?」と聞くと、まず「あなたは、smokey(燻製香)、delicate(繊細な香り)どちらが好みか?」と聞き返されるでしょう。smokeyはスコットランドのウィスキーらしいもので、その香りはまるでお腹の薬、正露丸。しかしクセになるとこれしか飲まない人もいるほど。そしてsmokeyか、delicateかが決まったら、次は「味わいはrich(豊か)か、light(軽め)がいいのか?」等々問いかけが続くので、いくつか飲んでみて、ウィスキーの味の座標軸に、あなたのお気に入りポイントを見つけましょう。
1つ覚えておくといいこと。それはグループでパブへ行った場合の注文の仕方。例えば5人で飲みに行くと、5人バラバラに支払うのではなく、まず5人のうち誰か一人がまとめて注文してお金を支払います。そして、みんなが飲み終わった頃を見計らい、次の順番の人がまとめて注文して支払います。これをみんなが飲み終わるまで続けます。スコットランド人の飲むピッチがすごく早いので、多くの日本人は間違いなく酔っ払います。私も何回か、これで翌日アウトになりました(笑)。なおスコットランドのドラッグストアには二日酔い予防のサプリやドリンク剤は日本のように売っていないため、注意が必要です。
あともう1つ。スコットランドはイギリス連邦国の一国ですので第一公用語は英語。ですが、イングランドに留学した経験のある人でさえも「あれは英語ではない」というほど、発音、アクセント、単語において聞き取りの難しい英語を使います。街の社交場であるパブは、まさしくこの生のスコットランド英語経験ができる場所。特にグラスゴーの人々はとてもフレンドリーなので、日本人にも次々にグラスゴー訛りの英語を浴びせかけてくれます。さあ、そんな場合はどうするか?浴びせかけられたら、浴びせ返す!自戒の意味をこめてスコットランド流に人生謳歌する気持ちで、会話も、お酒も楽しみたいと思います。