スコットランドを知りたいなら、セントアンドリュースへ

 「もしもスコットランドについて知りたいならば先ずセントアンドリ ュースへ。」

ある新書の勧めに従い、行ってみました。

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セントアンドリュース大学

スコットランドで最初に生まれた大学(1413年創立)。 今年(2019)発表されたランキングによると、 セントアンドリュース大学はオックスフォード大学を抜いて、UK ランキング第2位の大学となった。 ちなみにウィリアム王子とキャサリン妃はこちらの卒業生である。

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Wikipediaで気になった大学ネタ

・スコットランドの大学ではあるが、3割近くがイングランド出身 の学生で占められているため、Scotland's English university( スコットランドにあるイングランドの大学) と揶揄されることもある。

・1794年に設立された世界で最古の学生によるディベーティン グ・ソサエティーがある。

・多くのゴルフコースが大学キャンパスに隣接しており、 学生は格安な料金でゴルフのプレーを楽しむことができる。

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セントアンドリュース大聖堂

新書に「スコットランドについて~」と勧めがあったのは、 この大聖堂を訪れろという意味である。 かつてはスコットランド最大の建物であり、 多くの巡礼者が訪れた聖堂は、今や廃墟。16世紀の宗教改革で破 壊されたためである。

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NHKでも放映されていた「クイーンメアリー」 をご覧になった方もおられると思いますが、メアリー( カトリック)は、下の怖顔の宣教師ノックス(プロテスタント) 指導による宗教改革の嵐に巻き込まれ、スコットランドはプロテスタントの国となる。

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セントアンドリュース城

北海に面する岩場の先端に作られているセントアンドリュース城。 13世紀に”司教の館”として建造されたが、16世紀にイングランドの侵攻によって破壊され、 現在は建物の一部や牢獄が残るのみとなった。

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おまけ。

ランチに立ち寄ったthe cottage kitchenというカフェ、なかなか良かったです。

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イギリス人は傘をささないについて考察してみた

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イギリスは雨が多いーそんなイメージをお持ちの方が多いかもしれ ない。しかし、意外なことに、 日本の方がイギリスより雨は降っている。ある統計* によると年間雨量は東京1,531mmに対し、ロンドン601m m。東京の方が何と約2.5倍も降っている。 

 

筆者はイギリス連邦国の一部である、 スコットランド最大都市グラスゴーに在住し、「 イギリス人は傘をささないの?」 と日本にいる友人から質問されることがある。 すると私は次のように答える。「 傘をささないイギリス人は確かに多い。しかし雨が降っても、 傘をささない理由はある程度理解できるようになった。」 なぜ理解できるようになったか?考察してみたい。

 


1.気候からの考察

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①イギリスは、霧雨が多い

“霧の都”とロンドンが称されるように、 イギリスでは細かい霧のような雨が頻繁に降る。この霧雨、 空中を雨が浮遊する感じで、意外と傘で防ぐのが難しい。だから、 イギリスでは雨が降り出すと、ひょいとフードをかぶり、 雨を気にしないかのように、スタスタと歩き続ける人が多い。 そして老若男女問わず、 フード付きやウォータープルーフのアウトドア用ジャケットを日常 的に着ている人が多い。


②イギリスは、横振りの雨も多い

イギリスは、風の強い日が多い。せっかく傘をさしたとしても、 傘以外の部分から、横から後ろから斜めから、 あらゆる角度から雨が人間を攻めてくる。 また強い風は傘を奪ったり、 ひっくり返したりすることがあるため、 傘を持つことが危険であると考える人もいる。


③イギリスは、天気がコロコロと変わる

「イギリスには一日の中に四季がある」という表現がある。 朝どんよりとしていたと思うと雨がしとしと降り出し、 昼に雨が強くなり、夕方に突然強い陽射しが出る、 なんてことがよくある。

フランス人画家モネがロンドンで絵を描いていたとき、 天気があまりにも変化するため「絵の色が決まらない!」 と立腹したという逸話があるほどだ。

つまり、イギリスでは傘を持つなら、 毎日持ち歩くことになってしまう。

 


2.傘の“歴史”からの考察

・3,000年前のエジプトで「日傘」が生まれた。

・紀元前の中国で「雨傘」が生まれたが、その後、 長い期間にわたり、ヨーロッパで「傘は女性のアクセサリー」 であり続けた。

・1700年代中期にイギリスの慈善家・旅行家ジョナス・ ハンウェイが傘を持ち込む。 持ち込んだ当初は嘲笑の対象であったが、 次第に見慣れたものになった。

・1830年にジェームズ・スミス& サンズという傘専門店がロンドンに登場。

・1852年にサミュエル・フォックスが、 スチール製の軽量フレーム傘を開発。

・1928年にドイツ人ハンス・ハウプトが、折畳み傘を開発。

 


3.傘の“語源”からの考察

傘の英語“umbrella”の語源は、影を意味する“umbr a”というラテン語であり、“日除け”として用いられていた。


つまり、傘とは本来日傘であり、その後、雨傘が生まれたことが、 傘の歴史また言語の世界からうかがい知ることができる。


イギリスの伝統“コートで雨をしのぐ”方法が育つ

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イギリスでは歴史的に雨風をしのぐ方法として、 傘よりも外套に依存していた時代が長い。一方で「 傘は女性の持ち物」というイメージが強く、 傘は男らしくないというイメージが保守的な人々の間に残り、 傘をさすことをためらう男性も存在する。また、 雨傘をさすのに不利な気候(霧雨、横振りの雨、 頻繁に変化する天気等)も影響し、コート(外套) がイギリスを中心に発展してきたと考えられる。


イギリスには、現在も活躍するコートブランドがある。 防水性を重視し、軍用の外套として作られた「バーバリー」、 ゴム引きの防水布を使った「マッキントッシュ」、 オイルコーティングしたコートの「バブアー」等が有名であろう。

しかし昨今のイギリスでは、ブランドにこだわらず、 機能性とコストパフォーマンスを重視した防水機能付きのアウトド ア用ウェアを着用する人が多い。

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それでも少し変わってきた、イギリスの傘事情

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世界的な温暖化の影響もあり、 イギリスでも傘の使用率が以前より高まっていると現地イギリス人 から聞く。イギリス人が一般的に使用する傘は、大きく分けて2タ イプ。1つは、イギリスの強い雨風にも対応しやすいゴルフ傘、 もう1つは予測不能な雨に対応できる折り畳み傘だ。

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なお日本でよく見られる透明なビニール傘は、少数派である。 日本のビニール傘は、ほぼ使い捨て感覚で使われているため、 環境意識が高いイギリスではなじみにくく、 一方で王室御用達ブランドのフルトンのビニール傘が存在するが、 最低でも20ポンド(日本円で約2,750円)するため、 街で見かけることは少ないのが現状だ。

フィッシュ&チップスとアルデンテ

「スコットランドでアルデンテは食べられない。」これはグラスゴーに住む多くの日本人が話すこと。でも、 いちおうイタリア人の名誉のために言っておきますが、 お店の人に「アルデンテで」とお願いすると、ちゃんとアルデンテのパスタを提供してくれます。要はイタリア人がスコットランド人の好みに合わせて、 普段はソフトなパスタを茹でているだけなのだと思っています。

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では、 なぜスコットランドではソフトなパスタを出すようになったのか? その謎を解くヒントが、フィッシュ& チップス店にありました。

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スコットランドには多くの美味しいフィッシュ&チップス店があり、 愛情を込めチッピーと呼ばれています。そして私のお気に入りチッピーにMerchant Chippieというお店があり、『The winner of Scotland’s best fish & chips - Italian awards』という受賞ロゴを誇らしげに掲げています。 はじめはスルーしていたのですが、何回か通ううちに、 なぜチッピーでイタリアンアワード?と思うようになりました。

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理由はありました。それはItalian Scots。 イタリアに祖先があり、スコットランドに住む人々のことです。Italian Scotsの大きな波は、1890年代。 当時イタリアでは干ばつ、飢餓、貧困が酷く、 より良い生活を求め、 多くのイタリア人がイギリスへ移民。グラスゴーにはイギリスの中で3番目に大きいイタリアンコミュニティが存在したと言います。 その後、第二次世界大戦時、 イタリアとイギリスは敵対国となったことから多くの悲劇がありましたが、それでもItalian Scotsは多種多様な業界で活躍し続け、今は特に食の世界で存在感を示しています。

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イギリスにおける食の代表といえば、フィッシュ&チップス。Italian Scotsは、1890年代から1914年までの間に、 スコットランド中にスコットランド人の大好きなチッピーをオープンし、その世界を占拠していきました。 しかし、 なぜイタリア人は自分たちのイタリア食にこだわらなかったのでしょう? イタリア人は生き残るために、スコットランド人の好みに合わせたのです。 イタリアのアルデンテなパスタにこだわらず、 市場から新鮮な魚を仕入れて、 スコットランド人の大好きなフィッシュ&チップスを毎日毎日揚げたのです。そして今や、 イタリア移民による美味しいフィッシュ&チップスはスコットランドで欠かせないものになりました。

イングランド湖水地方へ行ってみた

スコットランド・グラスゴーから車で約3時間。イングランド湖水地方は、世界的にも知られる景勝地です。日本人に一番有名なのは、あのピーターラビットでしょうか?ピーターラビットの生みの親である  ビアトリクス・ポターは、湖水地方に生まれ、大好きな湖水地方をイメージして、可愛い物語を作ったといわれています。

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湖水地方は、1日で回るには結構広い。なので何処へ行くかポイントを予め絞りました。そのために湖水地方へ行ったことのある知り合いにオススメを聞き、➀ウィンダナミア ②ケズウィックの2ポイントに。実際どちらも気持ちいい場所でした。

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宿泊場所は、Bouness on Windermereのゲストハウス。ゲストハウスとは朝食付きの宿泊施設です。機能的にはB&Bと同じですね。私たちの宿泊したゲストハウスは、美味しい朝食と便利なロケーションが売りでした。

 

ゲストハウスは、湖水地方へ訪れる人が必ず通過する交通の要衝にありました。利点は、初めて湖水地方を訪れる人たちでも迷うことなく、スムーズに旅を楽しめること。静かさを優先する方はもっと奥まった場所が落ち着くかもしれませんが、私達は便利さを優先。

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このゲストハウスの朝食は、クチコミサイトでも評判が高く、パンは焼き立てのクロワッサンまたはハムを挟んだチャバタから。他にジュース、ヨーグルト、フルーツ、コーヒー等、朝食オーダーシートにチェックして前の晩迄にオーダー。すると翌朝可愛いバスケットに入れて、部屋のドアまで宿の人が持ってきてくれます。イギリスの朝食にしては量は多くないのですが、日本人には充分。120%エネルギー充電されたので、湖水地方を巡ることにしました。

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午前は宿泊地から歩いて行けるウィンダナミアOrrest Headという景勝地へ。Foot Pathを歩いて行きました。Foot Pathとはイギリスを発祥とする森林や田園地帯、古い街並みなど地域に昔からあるありのままの風景を楽しみながら歩くことができる小径(日本フットパス協会より)。ほどよく整備されていて、気持ちよく歩きやすい道でした。

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新緑が気持ち良い五月初旬。日陰を歩くときはシャツの上にウォータープルーフのジャケットを羽織ってちょうど良いのですが、歩き続けると汗ばみ始めて、丘の上に立つ頃には半袖になるという気候でした。

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所々には、湖が片隅に臨める場所があったり、苔むした涼しさを感じる場所、時には可愛いキャラクターが立っていたり、歩いていて飽きる事はありません。そして歩く事、30分ほどで頂上へ。山と湖、そして湖水地方の街が360度見渡せます。気持ちよさそうにランチボックスを開く人もいました。気持ちは、凄く分かる。

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午後はケズウィックへ。ゲストハウスまで歩いて戻り、そのあと車で移動。移動時間は30分位だったかな?

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ケズウィックは、湖水地方らしい景色が楽しめる場所。

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春には、生まれたばかりの可愛い子羊を間近に眺めることができます。子羊がじゃれあって、心和む可愛さ。

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湖水地方の夜は、ゲストハウスから車で10分位の場所にあるスモークハウスThe Wild Boarて舌鼓。売りは、燻製フードと自家製ビール。印象的だったのはベーコンに巻かれた燻製ソーセージと獲れたて鹿肉のステーキ。特にステーキは、今まで食べた鹿肉の中で一番美味しかった…

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湖水地方は有名な観光地。ですので場所によっては観光客の数が多く、土産物屋ではザ観光地の物を売っていたり、レストランでは今ひとつな食べ物の味がしたりして、たまに辟易するコトもあります。なので、ザ観光地の中心エリアではお金を落とさない方が湖水地方の本当の美しさに触れることが出来るかなあと。あ、でもゲストハウスは良かったですよ。

【番外編】日本のスターバックス

東京に住んでいたとき、スターバックスを時々利用していました。そして一回だけ、スターバックスのコーヒーセミナーに参加したことがあります。数種類あるセミナーの中からコーヒーとスイーツのペアリング講座に参加。これがなかなか良かったのです。

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講座では、数種類のコーヒーに合うチョコレート(市販の明治とかロッテなど)やスタバで販売するスイーツとのペアリング。これはこれで面白かったのですが、開眼したポイントがコーヒーの抽出法。セミナー時にコーヒープレスを使ったのですが、そこで飲んだキリマンジャロがサッパリとして、凄く美味しかったのです。キリマンといえば酸味が強く飲みにくい印象しかなかったので意外で、以来、自宅でコーヒーを飲むときはプレスを愛用しています(プレスを使用すると、コーヒーオイルというコーヒーの旨味も味わえて美味しいそうです)。

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で、一時帰国時に久しぶりに日本のスタバへ。スタバ本社ビルのある目黒店へ行ってみました。すると、コーヒーが普通の淹れ方以外に、➀ハンドドリップ ②コーヒープレス ➂サイフォン ➃スタバ独自開発のクローバーという4つの淹れ方から選べるではありませんか!(日本全国で数店舗のみの展開)。私はスコットランドでは見かけないサイフォンを選ぶことに。お店の人と相談し、サイフォンに適しながら、バランスのとれたコロンビア豆に。またコロンビア豆にぴったりな四層レイヤーのチョコレートケーキもオーダーしました。

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カウンターに座り、バリスタの人と軽く雑談しつつ、コーヒーが抽出されるのを待ちました。まあ、このやり方は昔からある日本の喫茶店と同じですね。

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で、肝心のお味。オーダーするときにさんざん相談したので当たり前ではありますが、コロンビアコーヒーとチョコレートケーキの食べ合わせはとても美味しかったです!コーヒーのお味そのものは、コクありのザ・コーヒー。かといってコクがありすぎて、飲みづらいわけではありません。カップは通常のマグとは異なり、素材に質感があり、上部が少しすぼまっている分、香りが逃げにくい器となっていました。もちろん普通のマグでも飲めるし、お持ち帰りもできます。

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スコットランドでここ数年、コーヒー産業が盛んであることは以前ブログでお伝えしたのですが、そんな中でスタバはスコットランドで今ひとつの存在。一方で日本のスタバは日本マーケットにとけ込もうと努力している感が伝わるので、元外資系企業勤労者としては気になる存在です。日本へ一時帰国した際はまた覗いてみたいなぁと思うサイフォン体験となりました。

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クラフト・ジンによく合う本場おつまみ5選

スコットランドでは近年、手作りで少量生産の「クラフト・ジン」が人気を呼んでいます。高品質のクラフト・ジンは、単独で飲んでももちろん美味しいのですが、せっかくならばおつまみとの相性を考えて、ジンの美味しさを倍増、いや相乗効果で4倍にしたいものです。

 

クラフト・ジンは、フルーツ、ハーブ、スパイス等のボタニカル(植物)で個性的な香りをつけており、おつまみにも同じ香りを用いると相性が高まります。またジンの代表的な楽しみ方であるジン・トニックは、フライや魚・肉の脂等をさっぱりリフレッシュしてくれる効果も。さあ、早速オススメの5品をご紹介しましょう。

 

【ジン専門バーおすすめ】

ジン入りタルタルソースで食べるフィッシュ&チップス 

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スコットランドはイギリス連合国の一部。そのイギリスの代表的なつまみといえば「フィッシュ&チップス」。スコットランド人もこの揚げ物が大好きで、専門店のみならず、パブ、カフェ、レストラン、どこで食べてもカリッカリに揚がった美味しいものが食べられます(イギリス飯はマズイという噂もあるが、本当に美味しい!)。

 

フィッシュ&チップスには、モルト・ビネガー(麦芽酢)と塩をかけて食べるのが一般的ですが、ジンとの相性を考えるなら、ジンを加えたタルタルソースがおすすめ。さあ、カリッカリのフィッシュ&チップスにタルタルソースをつけて、シュワッシュワのジン・トニックで流し込んでみましょう。揚げ物とタルタルソースの組み合わせなのに、意外と脂っぽさを感じさせません。繊細な舌を持つ日本人をもとりこにすること請け合いのイギリス飯!

 

【酒屋おすすめ】

マティーニから発想した、オリーブの酢漬け

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「ジンと一緒に食べるおすすめは何ですか?」とスコットランドの酒屋さんで質問したところ、「スコットランド人は、最初の一杯目にジン・トニックを飲むから軽いつまみ、例えばオリーブが良いんじゃないかな。」考えてみれば、ジンをベースにした代表的なカクテル・マティーニには必ずオリーブが入っています。これは間違いありません!

 

まずはジン・トニックとペアリング。酢漬けの酸っぱさが飲むスピードを加速。ジン・トニックがすいすい喉を通っていきます。

 

続いてストレートのクラフト・ジンと。オリーブの香りは、豊かなフレーバーのクラフト・ジンとぴったり。またジンはストレートだと40度以上のアルコール度数を持つが、オリーブは口直しとしてもぴったり。オリーブ、ジン、オリーブ、ジンと永遠のループになりそうな危険な組み合わせ!

 

【ジンメーカーおすすめ】

胡椒風味のスモーク鯖

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スコットランドの鯖は、脂が乗っていて美味。スーパーではスモークされた鯖が真空パックになって売られていて、冷蔵庫の常備品にもなる重宝な一品。味付けはプレーン、唐辛子等ありますが、ジンには胡椒味のスモーク鯖がおすすめ。

 

このスモーク鯖はあらかじめ調理されており、オーブンまたは電子レンジで温めるだけで食卓へ。オーブンで温めるならば、ズッキーニやプチトマトなどの野菜を一緒にグリルすると、野菜も摂れてさらにヘルシーになります。

 

さあ、ジン・トニックと一緒に召し上がれ。鯖の脂をジン・トニックがさっぱりとリフレッシュ。胡椒の風味は、豊かなフレーバーのクラフト・ジンとぴったり。クラフト・ジンの懐の深さをあらためて気付かせてくれるフードペアリングです!

 

【ジンメーカーおすすめ】

香り高くて塩っ辛い、熟成チョリソー

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「チョリソーは、スペインでは?」そんな声も聞こえてきそうですが、スコットランドは欧州の一部であり(欧州から離脱する「ブレグジット」前は関税もかからない)、スーパーには欧州産の食材がたくさん並んでいます。美味しさを追求するために、地の利を利用しない手はありません。

 

クラフト・ジンメーカーがおすすめするのが熟成肉。有名なところがチョリソー。チョリソーを少し調べてみると、塩辛いという意味のラテン語が由来であり、塩っ気はアルコールのお供にぴったりです。そんな塩っ辛いチョリソーには、香辛料も豊富に含まれているため、香り高いクラフト・ジンの相棒として最高の簡単おつまみなのです。

 

【英国大使館シェフおすすめ】

これぞ王道!スコティッシュ・サーモン 

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Scottish development international提供

 

見た目は綺麗なオレンジ色、舌ざわりはまるでとろけるようなスコティッシュ・サーモン。脂が良質で、その証拠にSashimi Quality(刺身で食べられるほど新鮮な状態)と謳い、売られているほど新鮮で高品質。そんな良質なサーモンを食べるのなら、やはり良質な酒。スコットランドのクラフト・ジン以外に選択肢はありません。

 

サーモンは刺身用をマリネにして楽しんでみましょう。マリネ液にはジンを大さじ一杯ほど加えて。クラフト・ジンのフレーバーには柑橘系が用いられていることが多いので、レモンをサーモンに一絞りしたり、グレープフルーツをサーモンに乗せて食べるのもGood!そしてジン・トニックにも、同じ柑橘を加えて楽しみましょう。サーモンはさっぱりと、ジン・トニックの香りはさらに高まり、柑橘系つながりで食べ物と飲み物の相性は抜群です!

スコットランド発、クラフト・ジンで紡ぐ“島おこし”

ハリスといえば、高品質な織物ハリス・ツイードが有名。そのツイードが生産される島は、スコットランド北西岸に連なるアウター・ヘブリディーズ諸島にあります。ハリスは、ルイス島という島と陸続きの島で、旅してみると「ほとんど一つの島」の印象です。

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ハリスは、ヨーロッパで大人気の“最果ての島”

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ハリス島まで、スコットランド最大都市グラスゴーからは車とフェリーで1日がかり。それでもイギリス国内はもちろん、ヨーロッパ全土で人気が高く、夏休み期間は宿泊予約が困難なほど。お目当ては、最果ての地ならではの海と岩が織りなす風景。古くから作家や詩人をも魅了してきたといいます。さらにスコットランドとは思えない白い砂浜も有名です(ただし夏でも海水は冷たいので、泳ぐ人はいない)。

しかし観光地として人気が高い一方で、厳しい現実もあります。それは島では高等教育が受けられないため、多くの若者はスコットランド本土の大都市に出てしまうこと。(だから若者より羊の数の方が多いと言われる)スコットランドも日本も、島の若者流出という同じ課題を抱えているようです。

 

蒸溜所で島おこし、というアイディア

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「なんとか若者流出を止め、島を活性化させる方法はないだろうか?」ハリス島の人々がアイディアを出し合った結果、これまで島になかった蒸溜所を作れば、雇用を創出でき、見学に訪れる人々で島は賑わうのではないかという考えにたどり着いたといいます。その答えが、クラフトジン蒸溜所アイル・オブ・ハリス。高品質なクラフト・ジンをつくるだけでなく、雇用を創出して地元経済を活性化しながら、ハリス島のスピリッツとアイデンティティを世界に広める「ソーシャルな蒸溜所」として2015年9月に設立されました。

 

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訪れたのは2019年6月中旬。日本で言えば、蒸し暑い梅雨ですが、ハリス島は太陽が隠れると、少し寒いくらいです。「ようこそ(WELCOME)」の看板を超えてすぐ暖炉が迎え、島巡りをするサイクリストやバイク乗りが暖を取っていました。

 

観光客でにぎわうハリス・ジン蒸溜所

中に入ると、施設も、ジンのボトルも、モダンなデザインで統一感があります。実はハリス・ジンは、2018年には「スコットランド・食&ドリンク賞」を獲得しています。スコットランドのカフェ、レストラン、バーで、ハリス・ジンを扱っている店舗は多く、人気は相当高く、スコットランドでは現在かなりの数のクラフト・ジンが生まれている中で、ハリス・ジンは勝ち組のクラフト・ジンと言えます。

 

地元の昆布等でジンの個性作り

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人気の理由は、ハリス・ジンならではの豊かなフレーバー。ハリス島特有のボタニカル(植物)をミックスしてつくられており、香りの原料は全部で9種類。ジュニパーベリー、コリアンダー、アンジェリカ・ルート、オリス・ルート、クベバ・ペッパー、ビター・オレンジピール、リコリス、シナモンの他、地元で収穫したシュガー・ケルプ(昆布)も主要原料のひとつとして含まれている点がユニーク。島のダイバーたちが手で獲った昆布がジンの自然な甘みとどこにもない個性を生み出し、ジン愛好者を魅了しています。

 

洗練されたカフェの味も人気

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蒸溜所が経営するカフェの味も、お楽しみの一つ。ここのスープはかなり評判が高く、食べて納得しました。訪れた日のスープは、イギリス特産バターナッツカボチャを使ったカレー風味のスープ。失礼ながら田舎臭さを全く感じさせないセンス溢れる味わいで、体を芯から温めてくれました。一緒に食した燻製サバと新ジャガをハリス・ジン入りのドレッシングで和えた一品も絶品。ランチのメインとしてはもちろん、お酒のおつまみ(もちろんクラフト・ジン!)としてもぴったりでした。

 

実はアイル・オブ・ハリスは、クラフト・ジンを作る一方で、スコッチ・ウィスキーの出荷も目指し、生産を進めています。蒸溜所付近を訪れると、ウィスキーの酵母の香りが立ち込めていました(普通、ジン作りだけだと、酵母の香りはしない)。そしてウィスキーの資金作りのために創設されたのが「THE1,916」。出資金400ポンドを出すかわりに、初代出荷のウィスキーが出資者に贈られるという仕組みになっており、出荷に向けて順調にビジネスは動いているといいます。

 

アイル・オブ・ハリスは、日本人にとって決して近い場所とはいえません。しかしそこには美しく穏やかなハリス島と優しい人々が待っています。忙しい日本を離れて、個性豊かなクラフト・ジンとともに「時が止まったような時間」を最果ての島で堪能するのも、たまにはいいのかもしれません。

 

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